夜一を見たらわかること
その日の放課後、章吾を教室で待っていた。
窓から外を見ると、サッカー部がグラウンドを走っている。
章吾の姿がどれか人数が多いせいか分からなかった。
すぐ終わるって言ったけど、本当かよ。
後ろを振り返って、窓に背中を凭れた。夜一の空席が目についてしまった。
そっと近寄って、机に触れてみる。
あたしとは本当に、対照的。
ラクガキひとつ書かれてない机。教科書とノートも持ち帰ってるみたいでスカスカ。
授業だって当てられない限り発言しないし、友達だって必要ないみたいにひとりでいる。
たまに話しかけられてるところを見るけど、抑揚のない声で返事をする。
だけど、嫌みなんて言わない。
あんな顔をするのは、あたしの前だけか。
なんとなくモヤモヤして気分は溜め息に似ている。