夜一を見たらわかること

その日の放課後、章吾を教室で待っていた。

窓から外を見ると、サッカー部がグラウンドを走っている。

章吾の姿がどれか人数が多いせいか分からなかった。

すぐ終わるって言ったけど、本当かよ。

後ろを振り返って、窓に背中を凭れた。夜一の空席が目についてしまった。

そっと近寄って、机に触れてみる。

あたしとは本当に、対照的。

ラクガキひとつ書かれてない机。教科書とノートも持ち帰ってるみたいでスカスカ。

授業だって当てられない限り発言しないし、友達だって必要ないみたいにひとりでいる。

たまに話しかけられてるところを見るけど、抑揚のない声で返事をする。

だけど、嫌みなんて言わない。

あんな顔をするのは、あたしの前だけか。

なんとなくモヤモヤして気分は溜め息に似ている。

< 24 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop