夜一を見たらわかること
「彼氏、いいの?」
「何がだよ?」
「可愛く言って」
「何が……なの?」
「男の家に二人きりって、不安じゃない?」
「絵、描いて貰ってるだけ…だもん」
「俺の家に行くって言った?」
あたしはかぶりを振って、「言ってないけど。用事あるって言ったよ」と告げた。
「また、秘密作ったね」
「あんだよ。また脅すのかよ」
じっと無言で睨まれた。しまった、バラされてしまうって、自分に言い聞かせる。
「別に無理しなくていいのに」
「だって、言うんだ…でしょ?」
「やっぱりそれは困るんだ?」
「うん。言えない……だって、章吾を哀しませたくないもん」
「そっ」
素っ気なく言うと、手を止めた。