夜一を見たらわかること
「部活休まなくったって良かったのにな」
「何言ってんだよ。俺がそうしたかったの。
ほら、帰るぞ」
そう促すのはあたしが立つ素振りを見せないからだ。おまけみたいに軽く机の脚を蹴った。
「サッカーボールじゃねえぞ」
「知ってるって」
脇にかけていた鞄を手にした。教科書とノートは勿論置きっぱなし。
スカスカの鞄の中にはお財布とリップと筆記用具に携帯。
必要以上に物を持つことは好きじゃない。
「仕方ねーなー。んじゃ帰ろうぜ」
「お前、俺より男みたいだよな」
笑いながら言うけど、本心かもなって思った。だけど、この体に染みついた言葉遣いなんて直しようがない。
昔から男勝りな性格と言われてたし、近所にいる同級生は男の子ばかりだった。
だからか自然と遊ぶのも男友達ばかり。
おまけに運動神経が良かったからか、そのグループにいても遊びで困ったこともない。
かけっこ勝負したって早かったし、小学校低学年までは一緒にスカートめくりとかしてたし。貧弱な男の子はからかったりしてた。
だから、そんなこと言われてもしょうがねーだろって言いたくなってしまう。