夜一を見たらわかること

「お兄ちゃーん!」

子供の甲高い声がする。

なんとなくまた夜一を見ると、小さな男の子が横に座ってスケッチブックを覗き込んでた。

それから、白い帽子を被って日傘を差した女の人が後ろに立っていることに気がついた。

夜一の肩を叩いて振り向かすと、微笑む口元が見えた。

男の子が夜一の腕にしがみついて引っ張るから、夜一はまた男の子に視線を戻す。

二人に気をとられながら、夜一は笑いながら話していた。

楽しそうだな。

あたしは息を潜める必要もないのに、そうして見ていた。

それから、またひとりでスケボーでチクタクする。

なんとなく話しかけられないと思ったから。

しばらくすると、夜一はまたひとり。それを見て、話しかけた。

「ひとりで遊ぶの飽きた」

「あれだけ滑ってたらね」

「だって、オーリーとか技できねーもん」

じっと無言の眼差しに威圧感を与えられた。

「ひとりで遊ぶのは面白くないもん」

「遊びに来たんじゃないけどね」

「ならさ、絵、描けた?」

「んー」

「描けたら見せてよ?」

「気が向いたら」

「何それー」

「一生気が向かないだろうけど」

「見せてよ!」

そう言うと、シラッとした顔で聞き流す。やっぱり今日も見せる気ないのかよ。

仕方なく芝生に背中を預けて寝っ転がった。少し空が眩しくて薄目になる。

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