夜一を見たらわかること
「濱田さんと一緒」
「はっ?」
夜一があたしに顔を向けて、プッと噴き出した。
「またからかわれた」
呆れた目を向けてると、夜一の手があたしの体を抱き寄せた。
「なっ……」
「ちょっとこうさせて」
また囁くような声がする。
「なんで?」
「休みたいから。抱き枕」
「なにを」
「今日は可愛い抱き枕になってよ」
「えっ…」
そう言いながら、あたしはドキドキが勝ってしまって何も言えなくなった。
たぶん、あたしの腰の上に軽く置いた腕なんて、よいしょと声なんか出さなくてもどけるはずなのに。
どかせなかった。
木の下にいるから、日差しなんか避けれるのに、熱くなった。
どうして、ドキドキすると、人は熱くなるんだろう。
熱くなるから、ドキドキするのかな。
なんで夜一といると、ドキドキするんだろう。
「夜一……」
「んっ?」
夜一はどうなんだろう。
あたしみたいに思ってるのかな。
「仲良し家族だよね」
代わりに違うことを問うと、恥ずかしい素振りもなく「うん」とだけ言った。
夜一がもう一度目を開けるまで、またあたしは息を潜めてた。