夜一を見たらわかること

「ごめん。
今日描きたい気分じゃないかも」

「そうなんだ」

そう言われたら、何も言えない。

「濱田さん……こっち来れる?」

テーブルを挟んだ向こう側は大股一歩半の距離。

「行けるけど?」

「ちょっと来て」

そう呟いた。

今日は元気がない気がした。腰をあげて一歩踏み出す。その瞬間、夜一に腕を掴まれて引き込まれるように倒れ込んだ。

「わっ」

だけど、夜一の胸に優しく受け止められて、頬がぶつかる。

「夜一?」

「今日、なんでスカート?」

「……なんとなく」

「なあ、部屋で二人きりで何もないと思う?」

またそうやってあたしをからかうのかと思った。軽い脅し。もうその手には引っ掛からないって思って逆にしがみついてみた。
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