夜一を見たらわかること
「お姉ちゃん、お兄ちゃんと小学校からお友達だからさ」
「へー」と言うと、弟はお母さんを不思議そうに見上げた。
「小学校からのお友達?」
代わりに反応したのはお母さん。
「あっ、はい。
夜一が引っ越す前は、家が近所だったんで。
で、高校で再会したんです。
雰囲気が変わってびっくりしました。
すごい落ち着いてるから」
「そう」
「昔の夜一は、すげー大人しかったです。
こう、オドオドしてる感じで。
でも優しくて、お母さん思いないい子でした」
聞いていいのか分からなくて表情を伺ってしまう。
「そう。そんな子だったの」
「でも変わってしまうのも仕方ないと思いました。
強くならなきゃいけなかったのかとか思ったから」
お母さんは眉根を寄せて、少し苦しそうな顔をした。
「あの……夜一の本当のお母さん、死んじゃったんですよね?」
「ええ。彼が四年生のときに亡くなったみたいね」
「そう……ですか。
それも、引越してから噂で聞いてたんですけど。
夜一に直接、聞けなくて。
そっか。
寂しかったんだろうな」
お母さんはコクリと、静かに頷いた。