夜一を見たらわかること
「あの……でも今の夜一は、すげー幸せなんだと思います」
「幸せ?」
「はい。きっと……。
たぶんずっと寂しかったんじゃないかなって思うんです。
小さい頃から学校でもからかわれてたし。
なんか、自分の居場所探してたんじゃないかなって。
絵を描いたら元気になるはずのお母さんも死んじゃうし…。
だから。
だから。夜一の新しいお母さんになってくれてありがとうございます。
夜一に新しい家族をつくってくれて…ありがとうございます。
だから……きっとすごく今、幸せなんじゃないかって思うんです。
なんか分かんねーけどあたしも嬉しくて……その……」
これ以上何を言っていいか分からなくなると、夜一のお母さんは二度微笑んだ。
一度目はあたしを見て、もう一度は、あたしの後ろを見て。
「いいお友達ね」
そう言って、少し涙ぐんだのは夜一がいたから。
スケッチブックを片手に、夜一は立ち尽くしてた。
「何やって……」
そう言いかけるけど、言葉が続かないみたいで黙ってしまう。