夜一を見たらわかること
「あたし、この絵ずっと持ってた」
「絵?」
その絵を受け取ると、あたしをまた見る。
「夜一、気付いてたんだろ?
あたしがこの絵持って行ったこと」
顔を向けられなかった。
丸まった絵が夜一の手で広げられていくから。
それから「ああ」と言った。
「ごめん。
夜一の大切な絵をずっと持ってた。
泣かせて、ごめん」
「……」
「だけど、夜一のこと嫌いだからしたんじゃない。
持って帰るつもりなんかなかった。
夜一の絵を見に行ったら、間違えて破いちゃって。
どうしていいか分かんなくて…。
それで、焦って持って帰っちゃったんだ」
「それで、悪いと思ってたんだ?
だから、急に絵のモデルやるとか言ったんでしょ?
本当、単純だね」
「だって、夜一に描いて欲しかったんだよ!」