夜一を見たらわかること

疑問符をつけて返すと、今度は軽蔑に近い眼差しに変わる。

「そう」

またくるくると丸めた。その絵で自分の肩をトントンと叩いた。イライラしてるようにも感じた。

「それだけ?」

「う……うん」

「本当、無神経だよね。
なんで避けられてるかなんて気付いてないでしょ?」

「あたしのことが嫌いだからだろ?
大切な絵盗んだから」

「違うよ」

「えっ?」

「この絵は確かに大切だったよ。
母親に見せて、喜んでくれたし。
その顔見れただけで、描いて良かったって思ってる。
ただ……」

ハァとまた溜め息をつきそうな顔をして、口を閉じた。

それから、

「じゃあね、濱田さん」

と、笑いもしないで、あたしの横を通り過ぎようとする。

やっぱり嫌だ、って思った。



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