夜一を見たらわかること
「夜一!」
その背中。
夜一の腰に腕を回して止めた。
「行かないで……」
「……」
「行くなよ?」
「なんで?」
「だって。あたし、夜一のことが……」
どうしよう。
言いたい。
昔のあたしの気持ちを伝えるだけじゃ終われない。
続きがあるから。
その先にある今の。
あたしの中にもある温かな気持ちを伝えたい。
だってこの手は夜一に触れても何も伝えない。
誰にでも伝えたくなるもんじゃない。
「好き」なんて。
だから、夜一には伝えたい。
「ごめん」じゃなくて「好き」
過去じゃなくて今のあたしを、伝えたくて仕方ないんだ。