夜一を見たらわかること

夜一が振り返ったかと思うと、肩をつかむ。

「今みたいに可愛く言えばいいのに」

「はっ？」

「そんな乱暴な告白の仕方ないと思うけど。
好きってそんなに投げやりなの？」

「投げやりじゃねーよ」

「全然、響かないよ。
濱田さんの言うこと。
言えばいいと思ってんの？」

そんなこと言ったって。夜一にどんな形で好きと言ったってあたしを嫌いに変わりはないのに。

意地悪そうな顔で、「可愛く言って」と言う。

「可愛くって」

「俺だけにそうして？」

夜一のせいだ。

こんなにドキドキするのも。

好きって言いたくなってしまうのも。

そんな顔して、その声で、あたしの前に立っているから。

言いたくなってしまう。

「好き」

彼を見詰めながら言った。

「それだけ？」

「夜一のことが大好き」

「それで？」

「それで？」

「どうしたいの？」

「あたしと付き合って下さい」

「じゃあ、付き合ったら好きにしていい？」

「えっ？」

「好きにしていい？」