夜一を見たらわかること
「好きにっ……て?」
「分かるでしょ?」
カァァと頬が、夜一の言葉で染められた。
だけど。ただ、あたしは夜一が欲しくてまた頷いてしまった。
犬みたい。なら、夜一の前くらいならとびきり可愛い犬になりたい。
お手とかしちゃうかも。
だから、好きになってよ。
「いるりちゃんはよく見なくても可愛い」
夜一がそう言った。
ギュッと抱きしめたのは夜一の腕。あたしは、今その中にいた。
「二度、好きになるなんて思わなかった」
「えっ?」
「同じ女の子を二度好きになるなんて思わなかった」
どういうことって、上げようとした顔を手で押さえ込まれて、もっと下を見てしまう。
「そのまま聞いて」
「うん」