夜一を見たらわかること

「えっ?」

あたしはキスなんかしてない。

ていうことは、あたしじゃない女の子の話?

でも、そんな女の子が他にいるのか。

ていうか、祢音は?その女の子が祢音ってことなのか?

「ねえ、夜一。
祢音はもういいのか?」

「はっ?」

「章吾が……夜一の好きな子クラスの奴に聞き出して貰ったって言ってたから。
その相手が祢音だって」

「ああ、それね」

何か思い出したように呟いた。

「答えが間違ってるんだよ」

「答え?」

「好きな人聞かれた。
で、しつこかったからヒントだけ教えた」

「ヒント?」

「上から読んでも下から読んでも同じ名前の人って」

「……」

「分かったでしょ?」

夜一の言葉にあたしの頬は簡単に緩んだ。
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