強引上司と過保護な社内恋愛!?
「おい!」

突然不機嫌な声が飛んで来た。

「何処いってんだよ!」

振り向くと、私のトレンチコートを片手に持った桧山さんが立っていた。

ゲ…すっかり忘れてた。

そう言えば桧山さんをタクシーに置き去りにしたんだっけ。

「す…すいません」

佑樹くんに会ってすっかり舞い上がっていた。

「帰るぞ」

桧山さんは私の腕をグイっと掴む。

「ちょっと引っ張んないでくださいよ」

私が手を振り払うと、桧山さんはちょっとムッとしているけど気付かないフリをする。

「泉さん…まさか噂の?」

佑樹くんが小声で尋ねて来たので鼻の頭に皺を寄せて「動物園」と口パクで答えた。

「じゃ、またお店行くねー、坂田にも宜しく言っといて」

ヒラヒラと手を振ると、桧山さんも佑樹くんにぺこりと一礼する。

レジでミネラルウォーターとお菓子を桧山さんに買ってもらうとコンビニを後にした。
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