強引上司と過保護な社内恋愛!?
「なにナンパしてんだよ!酔っ払い!」

店を出た瞬間、桧山さんに怒鳴られる。

「ナ…ナンパじゃありませんよ。よく行くバーの従業員の子です」

私がモゴモゴ反論すると桧山さんは目を細めて小さく舌打ちした。

「だったらなんであんな顔してんだよ」

桧山さんがなにやらボソっと呟いたけど、私は聞き取れず「何ですか?」と眉根を寄せて聞き返す。

「何でもねーよ」

なんだか不機嫌そうだ。

タクシーに置き去りにした事を怒っているのだろうか。

また凶暴になったらどうしよう。

「家どっちだっけ?」

自然に私の手をとり、桧山さんは早足でグングン歩き出す。

私は引きずられるようにして後をついていく。

「あ…あの桧山さん手を…」

「だから家は?」

「つ、突き当り右折して300メートル程のところです」

迫力に押されて思わず答えてしまった。

「じゃあ、タクシー拾うか」

桧山さんが手を上げて流れのタクシーを拾おうとしたので慌てて腕を押さえて止める。
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