強引上司と過保護な社内恋愛!?
どうしよう…このまま家に上がりこ込まれたら。

鬼畜の桧山さんに取って食われるに違いない。

なぁんてぐるぐる考えを巡らせているうちに、住宅地に差し掛かり突き当りまで来る。

「泉!どっちだ!」

「み、右です!」

突然大声で聞かれたので、反射的に答えてしまった。

右折して数十メートル歩くとあっという間に自宅マンションに到着する。

「確か此処だったな」

そして桧山さんもしっかり建物を覚えているというね。

どうしよう…どうしよう…

私がオタオタしていると、ふんわり頭を撫でられた。

「今日はありがとな。ゆっくり休めよ」

桧山さんは柔らかくニコリと微笑んだ。

よかった。

部屋に上がるっていうのは、やっぱりオヤジギャグだったようだ。

そりゃそうだよね。

私の部屋に泊まりたい、なんて本気で思うわけないじゃない。

別にガッカリなんてしてないけどね。全然。

「え…と、あの、送ってくれてありがとうございます」

私は慌てて頭をぺこりと下げる。

顔をあげると、桧山さんと視線がぶつかった。

やっぱり今日はいつもより顔が近い。
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