強引上司と過保護な社内恋愛!?
「ちゃんと朝から会社に来るんですよ」

「残念ながら、明日は大阪に出張なんだ」

じゃあ、会社には来ないのか。

なんでガッカリしてるんだ、私は。

だけど繋いだ手から伝わる人肌が心地よくて、離すのがなんだか少し名残惜しい。

「じゃあ…おやすみなさい」

手を離そうとすると、桧山さんは繋いだ手をギュッと握りしめ私を引き寄せた。

「あの…」と言いかけた時に、桧山さんが小ちゃな顔を傾け互いの唇が重なった。

私は突然の事に度肝を抜かれてビシリと固まる。

桧山さんは名残惜しそうにゆっくり唇を離す。

「な…なにごと?」

「接待が上手く言ったらキスする約束だろ?」

鼻先で見つめ合ったまま言う。

「私は同意してません」

「ダメとも言ってない」

「そ、それは冗談かと思っていたので…」

私は赤くなりながら、口籠る。

「やだ?」

桧山さんはくるりとした目で私の瞳をじっと見つめる。

「嫌…ではありません。今日の桧山さんはなかなか素敵でした」

桧山さんは嬉しそうにヘラリと頬を緩める。

「やった」

小さく呟き私の頬に両手を添えると、唇の感触を味わうように何度も短いキスをする。
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