強引上司と過保護な社内恋愛!?
今日は桧山さんがいないので、仕事を丸投げされることもない。

自分の業務は一段落したので、月末で忙しそうな加奈ちゃんの仕事をフォローする。

部長まで回付が完了し、検印済の稟議書を纏めて次の回付部署である同じフロアの営業企画部へ持っていく。
稟議書の受付処理を担当している女性に「お願いしまーす」と声を掛けた。

私と同じ歳くらいだけれど、明るいライトブラウンのボブヘアーにバッチリメイクを施した男好きしそうな雰囲気だ。

しかし、何の反応も示さない。

聞こえなかったかな。

「あの、すみません」

少し声を大きくしてみるものの、やっぱり反応はなし。

これは、無視されているのかな?

「すみません!稟議書をお持ちしました」

声を張ると、ボブヘアの女性はノールックで無言のまま、隣の島に置いてある茶色い箱を指差す。

そこに置けって事か。

それならそう言ってくれたらいいのに。

なんて内気な私が言えるはずもなく、「ありがとうございます」と言って、急々と退散する。

「デッカい声ださなくても聞こえるっつーの」

後ろから聞こえて来た会話とクスクスと笑う声にドキっとする。

やっぱり無視されていたんだ。

何だろ。感じ悪い。

気を取り直して経理部に支払い依頼書を提出しに行き、帰りしなトイレへと立ち寄る。
< 123 / 360 >

この作品をシェア

pagetop