強引上司と過保護な社内恋愛!?
その時、テラス席に通じるガラス戸が開いた。

「桧山審議官、大使がご挨拶したいとの事です」

部下と思わしきブラックスーツを着た男性が声を掛けて来た。

「今行く」

桧山父は軽く手を挙げると、男は一礼しガラス戸を締めて下がる。

「今日で1つ解った事がある。部下の躾がなってない、という事だな」

桧山父は息子を一瞥する。

私の顔面に縦筋が入った。

「たまには実家に顔を出しなさい」と言い残し桧山父はメイン会場へと去って行った。

取り残された私達の間に窒息しそうな程、重苦しい空気が流れる。

「あ…あの」

恐る恐る桧山に視線を向ける。

桧山さんの表情からは何も読み取れない。

顔立が整っている故に、人形みたいだ。

こんな無感情の彼を見た事はなく、私の中で焦りが募る。
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