強引上司と過保護な社内恋愛!?
「駄目だ!今日はもう帰れ!」

坂田は有無を言わさずテーブルにお冷を置く。

「やだ!やだやだやだ!今日は潰れるまで飲むんだからぁ!!」

私はテーブルに伏せる。

「お前、もう潰れる寸前だろ?気力で持ってるようなもんだよ」

「そんなころらいもん」

私は毅然に言い返したつもりだが上手く呂律が回らない。

「立ってみろよ」

スツールから立ち上がるが足元がふらつく。

そのままドシンとカウンターに寄りかかった。

「ほら、な?」

坂田は不機嫌そうにスッと目を細める。

さすがたんぽぽ組からの付き合いだ。

「じゃ、お会計はこれで」

財布をそのまま預けると、坂田は必要な金額を抜きとっておつりを小銭入れに入れておいてくれた。

明日私が騒ぎださないよう領収書もつけておくという念の入れよう。

「そんじゃ、邪魔したな」

立ち上がった拍子に鞄の中身を床にぶちまける。

佑樹君くんがカウンターから出てきて一緒に中身を拾い集めてくれた。

「店長、俺もう上がっていいすか?ついでに泉さん送っていきます」

坂田は眉根をピクリと寄せる。

「ま、もう店も締めるからいいんだけど…さ」

どうやら私がこの日最後のお客さんだったようだ。
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