強引上司と過保護な社内恋愛!?
「桧山さんみたいな俺様タイプって嫌いなんだ。泉さんを寝盗られたらくやしがるかなぁって」

佑樹君は悪びれなく二コリと笑って私の髪をさらりと指で梳く。

い…意外と邪悪…!

私は警戒の視線を向ける。

「別に桧山さんは私がどこかの馬の骨と、どうにかなったってくやしがったりしないと思うけど」

そーかなぁ、と言って佑樹君は口元に手を当てる。

「でもさ、意外と泉さんって可愛いとこあるんだね。一途で身持ちが堅いってとこもなかなかそそられるよ」

「はぁ?」

私は思いっきり眉根を寄せて聞き返す。

「またお店に来てよ」

「何言ってんの?当分行かないから」

私は今にも噛みつきそうな顔で言うと、佑樹君から鞄をひったくる。

「待ってるよ、泉さん」

佑樹君は小首を傾げニッコリ微笑む。

仔犬だと思って油断してたけど、可愛い顔してなかなか喰えない男だ。

私は一瞥すると、踵を返しマンションへと入って行く。


色々なことがあり過ぎて、きっと今夜も眠れないだろう。
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