強引上司と過保護な社内恋愛!?
「マスクがありますから後で持って行きますね。それと10:00になったら医務室が開くので産業医の先生に観てもらってください」

桧山さんはわかった、と言って小さく頷いた。

「はい、どうぞ」

私は紙コップを戸棚から取り出すと、淹れたてのコーヒーを注いで手渡す。

「ありがと」

その声はやっぱり関取みたいだけど、ホッとしたように笑うその顔はやっぱり可愛らしくて胸が高鳴る。

まいった…

そんな顔されちゃ諦めきれなくなる。

◆◇◆

「たもがみー」

仕事をしていると後ろから関取みたいな声が聞こえて来た。

「何ですか?!」

私は鋭い目つきで振り返る。

「さっきもらった風邪薬だけど全然効かないみたいなんだけど」

知らんがな!私は医者じゃない!

今日の桧山さんは執拗に私に絡んでくる。

避けられていたのが嘘みたい。

最初のうちこそ、風邪で苦しんでる姿を見て優しく接していたものの、10分置きくらいに声をかけられるものだから、全く仕事にならない。

やっぱり人間自分が一番可愛いもので、どんどん扱いがおざなりになってきた。
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