強引上司と過保護な社内恋愛!?
9. 巣立ちのとき
「あらぁ!風邪ですか?泉さぁん」

マスクをしてゲホゲホと咳き込む私に、出社して来た加奈ちゃんが心配して声を掛けて来た。

「うん…ちょっとね」

「おばあちゃんみたいな声になってますね。大丈夫ですか?」

「一応熱は下がったんだけどね」

私はマスクを外しぺットボトルの水を一口飲む。

「あれ、泉さん香水変えました?」

キラキラ女子に不意打ちで鋭く突っ込まれ私の鼓動が大きく跳ねる。

「え…今日は何もつけてないけど」

ふぅん、と加奈ちゃはイマイチ納得してないような生返事をする。

「おはよう!」

背後から溌剌とした声が聞こえて来た。

振り返ると、顔色も良く、バシっとブラックスーツを着こなした桧山さん。

今日は髪型もきまっている。

「なんだー田母神、風邪かあ?」

そのニヤついた顔が腹ただしい。

「週末に体調を崩してしまいまして」

私はジロリと非難の視線を向ける。

「体調管理も仕事のうちだからな」

なんてしたり顔でもっともらしい事を言って来た。

うつしたのはどう考えても自分のくせに。

「それ風邪でぶっ倒れた桧山さんが言います?」

加奈ちゃんにすかさず突っ込まれ、桧山さんはあははーと笑って誤魔化した
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