強引上司と過保護な社内恋愛!?
あの夜の一件以来、桧山さんとまともに口を聞くのを避けている。

用件があっても極力メールか電話で確認するようにしている。

「へぇ、なんか意外」

桧山さんは興味なさそうに相槌を打つと即座に仕事の話に切り替える。

「シャンバラリゾーツ社に提案するデザインの修正案は米山デザインから上がって来てた?」

「はい、昨日ようやく送られてきたので現在内容確認中です」

「午後のミーティングで使うから戻ったら直ぐにメールしておいて」

じゃ、よろしくーといつもの感じで言うとふらりと去って行った。

久しぶりの生桧山さんとの遭遇に私の動悸はなかなか治まらない。

あんな風にお願いされるのは私の役目だったんだけどな。

ご機嫌そうに焼き鯖定食を食べる真奈にじっとりと恨みがましい視線を向ける。

「なによ、その物欲しそうな顔は」

「別に…」

私は誤魔化すように白身魚のフライに齧りついた。
< 256 / 360 >

この作品をシェア

pagetop