強引上司と過保護な社内恋愛!?
わくわく動物園一同を掻きわけて、輪の中心にいる桧山さんの前で立ち止まった。

突然割って入ってきた私に、何事かとおじ様達の視線が集まる。

キョトンとした顔で私を見上げている桧山さんの顔の前に、徳利を突きだした。

「最後に私と勝負しましょう、桧山さん」

桧山さんは、唇の端を上げて挑発的にニヤリと笑う。

「望むところだ。帰り討ちにしてやるよ」

「おお!やんのか!ミスパーフェクト!」

佐々木さんが嬉しそうに目を輝かせてデッカイ声で言う。

思わぬ余興に会場は一気に盛り上がる。

私と桧山さんは謎の横断幕の前に二人で並んで立った。

「女に負けてみっともない最後を晒さないといいですね」

「相変わらず口だけは達者のようだね。田母神くんは」

こうやって憎まれ口を叩いていると、桧山さんが営業本部にいた頃に戻ったみたいだ。

睨みあう私達に会場のボルテージが一気に高まる。

「二人とも、用意はいいわね?」

松井課長は交互に私達の顔に視線を向ける。

私はこっくり頷いた。
< 258 / 360 >

この作品をシェア

pagetop