強引上司と過保護な社内恋愛!?
連絡を取る手立てを失った私はだだっ広い空港をグルリと見渡す。

どうしたものか…

一先ず桧山さんが乗るであろうNH885便のチェックインカウンターへと向かう。

「あの！桧山暁って人は既にチェックインされていますか？！」

前のめりになり、受付のグランドホステスさんに詰め寄った。

「お連れ様でしょうか」

「はい！」

私は自信満々に嘘をつく。

「では航空券を拝見してよろしいでしょうか」

「それは…持っていないんです」

私はテヘっと笑って誤魔化そうとする

しかし、グランドホステスさんはああ…と呟き、苦笑いを浮かべた。

きっとストーカーの類いに思われているに違いない。

あながち間違ってはいないんだけど。

「申し訳ございません。個人情報に当たりますのでお答えすることが出来ません」

「解ってます！解ってますがね！これしか彼を追う手立てがないんですよ！」

「申し訳ございません。規程ですので」

「其処をなんとか…！なんとかなりませんかねぇ！」

涙目で必死に食い下がる私にグランドホステスさんは顔を引き攣らせ、完璧引いている。

「泉…？」

声を掛けられ振り向くと、デッカいトランク引きずった桧山さんが佇んでいた。

「お前…なにしてんだ？」

桧山さんは眉間に皺を寄せて訝しげな表情を浮かべる。

終わった…ストーキング真っ最中のところを見られてしまった…。

空港で感動の再会…とは程遠い微妙な空気が流れた。
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