強引上司と過保護な社内恋愛!?
「何しに来たの?」

チェックインして、荷物を預けた桧山さんと空港内のコーヒーショップで一先ずお茶をすることになった。

ジャンボ機が並ぶ飛行場を見渡せる窓際のカウンター席に並んで座る。

今日の桧山さんはノータイにジャケットを羽織ったオフィスカジュアルの装いで、久しぶりに見るとまた格別に素敵。

もうこのお姿が見られなくなると思うと胸がギュッと締めつけられるように苦しくなる。

「お、お見送りに来ました」

「会社は?」

「…仮病を使って、午後休を取りました」

ま、バレバレだったけどね。

「其処までしても俺に会いたかったのか」

桧山さんは冗談めかしていう。

「はい、其処までしても会いたかったです」

私の真剣な回答に、桧山さんは驚いたように目を見開いた。

「桧山さんに、きちんとさよならを言いたくて」

「は?」

桧山さんは首を傾げて聞き返す。

「インドネシアに行っても頑張ってください。遠く離れた日本でお…応援…しま…しますけど」

涙で桧山さんの顔がボヤける。

「…桧山さんがいなくなったら寂しいです。もの凄く」

其処まで言うと、堰を切ったように涙が目から溢れた。

折角今まで我慢してたのに最後の最後で台無しだ。

メンドクサイって思われているに違いない。

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