強引上司と過保護な社内恋愛!?
「泉ちゃんはどうするんだよ。諦めるのか?」

五十嵐がビールを飲みながら尋ねる。

俺がいなくなれば男ばかりの営業推進グループで可憐な泉は引く手数多だろう。

営業企画部の後輩もちょっかい出すに違いない。

白いウェディングドレスを着た泉が他の男に手を引かれ、幸せそうに微笑みながらバージンロードを歩く姿を想像する。

「うーん…やだな。悪夢だ」

それだけで一気に気が滅入った。

俺は眉間に皺を寄せてホッピーをグイッと煽る。

「じゃあ、連れて行く?」

「…其れも現実的では無い気がする」

仕事もなく友人もいないインドネシアに泉を連れて行った所で、俺も仕事が忙しく構ってやれないだろう。

不憫な思いをさせるのは明白だ。

「じゃあ待ってて、って言う?」

「そんな事、俺に言う資格ってあんのか?付き合ってもいないのに」

五十嵐は顎に手を当てて、うーん、と考え込む。
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