強引上司と過保護な社内恋愛!?
「まさか…あのバーで働いてる小僧か?!」

人の恋路を邪魔したあのクソ生意気な小僧とはその後特に進展はないと柳井からリサーチ済みだ。

『さあ、知りません』

「何だよそれ!ちゃんと聞いとけよ!そして止めろ!」

『私がそこまで口を出す権利はありませんから』

柳井は冷たく言い放つ。

「お前にはガッカリだ、柳井。出来るヤツだと思って目をかけた俺が間違っていた。もし泉がその男と結婚なんて事になったら、出世するであろう俺は派閥を作ってお前を出世街道から締め出し…」

『じゃあ、忙しいんで切りまーす』

おつかれーす、と言って柳井は一方的に電話を切った。

くそ…柳井め…

俺はインドネシアへ赴任するにあたり、泉対策として良いスパイを見つけた。

それが泉の同期である柳井真奈だ。

いつも一緒にお昼を食べるくらい仲良しらしい。

我が社のゴリゴリ体育会系縦社会の社風を生かし、後輩柳井を泉のお目付役に任命した。

毎日ランチを一緒に食べる時には、今日の泉と称し、写メを撮っては俺に画像を送らせている。

柳井はなかなかいいセンスをしており、お陰様で毎日生き生きとした泉を堪能する事が出来る。

先輩の圧力で口止めしているため、勿論この事を本人は知らない。

知ったら気持ち悪がって柳井に写メなんて撮らせないだろう。

泉対策は万全だと思っていたのにな…

男とバケーションとは。

俺はデッカいため息をついて、デスクに顔を伏せる。
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