強引上司と過保護な社内恋愛!?
「へえ、バリ島行くんだ。泉さん」

佑樹くんがカウンターにお通しのアンチョビポテトサラダを置く。

今日はいいことがあったので会社帰りにフラリとサカバルに立ち寄った。

「うん、来月に。お土産買って来るね」

私はヘラリと笑う。

「えーいらない」

憎らしいことを言って、佑樹くんはフラリとキッチンへ戻ってしまった。

「なに今の！感じ悪くない？」

私がプリプリ怒っていると、坂田は苦笑いを浮かべて肩を竦めた。

「許してやってよ。佑樹も複雑な心境なんだよ」

「そんな繊細な心を持ち合わせてるとは思わないけどね」

怒り任せにアンチョビポテトサラダを口に入れる。

マヨネーズとアンチョビがよくあっていて、やっぱり美味しい。

「佑樹は繊細だよ。あいつが作ったもん食べたら解ると思うけど」

確かに彼の作る料理はどれも抜かりなく美味しい。

「あんな風に口では言ってるけど、タモが一時期店に顔出さなかった時も、佑樹はいっつも通りを眺めながらタモの帰りを待ってたんだぞ」

「そうなんだ…」

なんも考えてないと思ってけど、実は結構気にしてたのかな。

それなのに腹黒扱いしてちょっと悪かったかもしれない。
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