強引上司と過保護な社内恋愛!?
―――そして私は今バリにいる。

おじさま達から代わる代わる桧山さんへのお土産を渡されて、今や私のスーツケースの半分以上を占めている。

なんだかんだ言って、彼は愛されているようだ。

愛情のつまったお土産の入ったもんの凄く重たいスーツケースをガラゴロ引きずって、待ち合わせ場所である自家用車専用の車寄せレーンへと向かう。

小柄でポッチャリしたバリニーズのおじさんが「Welcome to BALI!TANOKAMESAN」と書かれた紙を持っていた。

…これってやっぱり私の事だよね。

ちょっと…いや、結構違うけど。

「あの…べベックさんでしょうか?」

事前に知らされていた現地コーディネーターの名前を恐る恐る呼んでみる。

おじさんは一気に満面の笑みを浮かべる。

「ミシマケンセツのタノカミさんですか?!」

「タモガミ…です」

「ああ!タモガミさんね!」

おっさんは額に手を当て、テヘっと笑う。

「わたしガイドのべベック!ヨロシクね!」

私の手を握ってブンブン上下に揺らす。

胸に一抹の不安が過る。

そんな私の気持ちを知ってか知らぬか、べベックはスーツケースを車まで運んでくれた。

「え…コレ?」

私は言葉を失いかける。
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