強引上司と過保護な社内恋愛!?
「ウェイト!」

私は桧山さんのおでこを手で抑える。

「俺は犬か」

不満気にぼやきながら私の腰に手を回し抱きよせる。

「ここは屋外ですよ。蚊に刺されたら恐いじゃないですか!マラリヤとかデング…」

異議申し立ては呆気なく中断された。

桧山さんのキスによって。

ああ…久しぶりだ。

その柔らかな唇の感触に思わずうっとりしてしまう。

こうなると、マラリヤもデング熱もどうでもよくなってくる。

桧山さんの腰に手を回し、夢中になって情熱的なキスに応える。

「今日は、俺のためにこんなお洒落してきてくれたの?」

そして、私の髪の毛を指先で梳きながら耳元で甘ーく囁く。

私は顔を赤くしたまま小さく頷いた。

本当は暑くて着替えたのだけど、それは言わぬが花。

「嬉しい。すごくよく似合ってる」

桧山さんは嬉しそうに、ニッコリと無邪気な笑みを浮かべる。

「其れに脱がせやすい」

肩の後ろで結ばれたドレスの紐に手を伸ばす。

「あの…其れは向こうの方で」

私は真っ赤になりながらベッドルームを指差した。
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