強引上司と過保護な社内恋愛!?
「大好き、いずみ。初めて会った時から」

みるみるうちに目に涙が浮かんでいく。

「私も好きです。4000キロを超えるほど」

そんなに遠いんだ、と呟いて桧山さんは目元を綻ばせる。

ちっちゃな頭を傾けて柔らかな唇をそっと重ねた。

それから何度も何度も唇の感触を味わうようにキスをする。

その度に身体から力が抜けて桧山さんとのキスに夢中になって行く。

その隙を見計らいドレスに手を掛けて脱がせると、ふんわりと床に放った。

桧山さんは私の身体を抱き上げてベッドに押し倒した。

なんて鮮やかなお手並み。

「もしかして…」

キスの合間に桧山さんが呟く。

「泉って処女?」

「そんな訳ないじゃないですか」

即座に比定すると、桧山さんはちょっとガッカリしたように柳眉を下げる。

「まあ、いっか。じゃ、遠慮しなくても大丈夫そうだな」

桧山さんは上から見下ろし、妖艶な笑みを浮かべる。

「でも、久しぶりなので手加減してください」

「ずっと我慢してたから無理」

そう言って私を組み敷くと、唇を塞ぐ。

ふとライオンに食べられるシマウマの映像が頭を過る。

この夜、桧山さんは心行くまで私を捕食した。
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