強引上司と過保護な社内恋愛!?
中に入っていたのはキラリと光り輝く石がのっかったプラチナリング。

「どうせならフィアンセにならない?」

そう言って桧山さんは無邪気に笑った。

「い…何時の間に指輪なんて…」

「本当はディナーの時に渡したかったんだけど間に合わなかったから、今朝ホテルに届けてもらったんだ」

桧山さんは箱からリングを取り出して、私の左手を取るとするりと薬指に嵌める。

「ぴ…ぴったし」

どうして、サイズを知っていたのだろう。

目を丸くして驚いている私を見て桧山さんは可笑しそうに笑う。

「この状況じゃすぐには結婚、って訳にはいかないけど、もう少し待ってて」

ステディを飛び越してまさかのフィアンセとな…

私はマジマジと左手薬指に輝く石を見つめる。

「何だか仮のウェディングみたいだな」

確かに私の身体には真っ白なシーツが巻きついてドレス見えないこともない。

髪はボサボサで起き抜けの顔だけど。

「それで、返事は?いずみ」

私はぴょんと桧山さんに抱きついた。

「もう、逃がしません!桧山さん」

そのまま縺れ合いながら、私達はベッドの上に倒れこむ。
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