強引上司と過保護な社内恋愛!?
「おはよーございまぁす」

朝起きてリビングに行くとキッチンからはいい匂いが漂っている。

「おはよ…加奈ちゃん」

ここ数日で桧山宅に居候が独り増えた。

勝手な真似をして怒られちゃうかな。

「泉さん、座っててください。今コーヒー淹れますね」

ローラアシュレイの鮮やかなお花柄のエプロンをつけて、加奈ちゃんは朝から爽やかだ。

「大丈夫。自分でやるよ」

コーヒーメーカーには淹れたてのコーヒーが既にセットされていた。

「スープの付け合わせで使ったフランスパンが余っちゃったんでフレンチトーストにしてみました」

キツネ色にコンガリ焼けてとても美味しそう。

昨日私が作ったミネストローネがまだ残っていたので加奈ちゃんはそれも一緒に出してくれた。

「いただきまーす!」

休日のブランチを揃って2人でたべる。

「泉さんスープにレッドキドニービーンズ入れたんですね」

「うん、アンチエイジングに絶大な効果があるって雑誌で読んだんだ。時間がなくて缶詰だけど」

「食べ応えがあっていいですね。チリコンカンがポピュラーだけど、キーマカレーとかに入れもいいかも」

「確かにいいかも!今度試してみようか!ナンとかも手作りしてみる?」

…どうしよう。

すっごく楽しい。

暁さんと一緒にいてもレッドキドニービーンズ一つでここまで話しは広がらないだろう。

しかも、加奈ちゃんがいてくれるといつも部屋は綺麗で清潔。

あまりの居心地の良さに「いつ帰るの?」と聞くタイミングをすっかり失ってしまった。
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