強引上司と過保護な社内恋愛!?
「弟が家を空けている間に、女子を部屋に連れ込むとは何事ですか？田母神さん」

眼鏡の奥にある鳶色の瞳に見据えられ、私はガックシ肩を落とす。

「も、申し訳ございません」

しかし、加奈ちゃんはどこ吹く風。

天才ブタの顔を大きな目で穴が開きそうなくらいジッと見つめている。

「何か？」

さすがの肇さんも居心地が悪そうだ。

「気持ち悪いくらい桧山さんに似てますねー」

そして無礼をかます。

肇さんは眉間に皺を寄せてジロリと加奈ちゃんを睨みつける。

「でもとても綺麗な目。カラコンですか？」

カラコン…？と呟き、肇さんは首を傾げる。

「加奈ちゃん、もう黙って」

温厚な私が珍しくきつい口調で言ったので、加奈ちゃんは口を噤み、肩を竦める。

「暁さんに連絡して加奈ちゃんの事はお話しします。そして、新しい家が決まるまでこの部屋に居てもいいか聞いてみようかと思ってます」

「泉さん…」

加奈ちゃんは潤んだ瞳でジッと私を見つめる。

「加奈ちゃんは暁さんの元部下でもありますから、きっと事情を解ってくれるででしょう」

ほお…、と言って、肇さんは眼鏡をくいっと上げる。

「じゃあ、早速連絡してみましょう」

おもむろに鞄からタブレットを取り出した。

え…ちょっと待って、心の準備が…。

そう思っているうちに肇さんは素早く無料テレビ電話のアプリを立ち上げる。
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