強引上司と過保護な社内恋愛!?
「い、泉さん…」

加奈ちゃんは柳眉を下げて不安そうに表情を曇らさる。

大丈夫、という代わりにコックリ頷いてみせる。

数回コールした後に、タブレットの画面に日焼けした軽装の暁さんが映る。

『…何だよ』

明らかに表情が曇ってる。

兄からの電話に気乗りしない様子だ。

「ええ！桧山さんですか？！」

加奈ちゃんは、肇さんを押しのけてタブレットを覗き込む。

営業本部にいた頃とは随分雰囲気が変わった暁さんをみて驚いているようだ。

『え…あれ…ニッシー？』

突然元部下がカットインして来て驚きを隠せない様子だ。

「何ですか！桧山さん！随分小汚くなっちゃって」

『相変わらず、口の悪い女だな』

加奈ちゃんの歯に衣着せぬ言い様に、暁さんは眉を潜める。

「でもチャラチャラしてた時よりたいぜんっぜんいいですね！インドネシアに行って男を上げたんじゃないですか？」

『うるせー。お前に言われても全然嬉しくない』

まあ！と言って加奈ちゃんは心外そうに目を吊り上げた。

この2人の言い合いを見るのも久しぶりだなあ、と感慨深い気持ちになる。

『大体何でニッシーが肇といるんだよ』

おっと、そうであった。

「あ、あの！」

脇からタブレットを覗き込む。

まさかの私登場で暁さんはキョトンとしている。
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