強引上司と過保護な社内恋愛!?
「あなたは健やかな時も病める時もこの人を愛し、この人を敬い、この人を慰め、この人を助け、その命の限りかたく節操を守り愛することを誓いますか?」

柔和な笑顔を浮かべ牧師さんが尋ねる。

桧山さんは返事をせずに黙り込んだ。

あれ…?どうしたのかな。

まさかこの後に及んで迷いが生じた訳じゃないでしょうね。

私は焦れて視線を向ける。

「泉、俺のこと覚えてた?」

桧山さんは小声でコソッと尋ねて来た。

「は?」

何の事かサッパリ解らず私は眉根を寄せる。

「10年前。入社試験の二次面接」

そう言われて、私の脳裏にぼんやりとある記憶が蘇ってくる。

『ばあさんみたいに落ち着き払ってるじゃん』

吐き気がするくらい緊張している私にデリカシーのない言葉を掛けてきた。

その笑顔が目の前の人物と重なる。

「あの時のチャラ男…」

私が大きく目を見開くと「誓います」

暁さんはニッコリ笑って愛を誓う。

「 誓いますか 」

神父さんは私に問う。

なんてこった。

あの日が今日に続いていたとは。
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