強引上司と過保護な社内恋愛!?
「かわいい肇くん」

先生がゆっくり顔を近づけて来るとふんわりフローラルの香りに包まれていく。

同級生の女の子とは違う大人の女性の香り。

そのまま赤く形の整った唇が俺の唇と重なる。

突然の出来事に俺はどうしていいのかも解らずに只々固まるばかり。

先生は名残惜しそうに唇を離す。

「この事は誰にも言わないって、約束出来る?」

この事が誰かに知られたら、きっと先生には良くない事が起こる。

俺は反射的に頷いた。

「パパにもママにもお友達にもナイショだよ?」

髪を優しい手つきで撫でながら、漆黒の大きな瞳にジッと見つめられると、催眠術にでもかかったように俺は首を何度も縦に降る。

先生は俺の眼鏡を外すと猫脚のサイドテーブルにコトリと置いた。

「かわいい肇くん、本当にかわいい」

先生は呪文のようにその言葉を何度も囁きながら、再び唇を塞ぐ。

俺は何が起きているのか訳も解らず、されるがままにベッドへ押し倒された。


―――此れが、初恋の思い出。
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