強引上司と過保護な社内恋愛!?
男色疑惑を残して俺は実家を後にする。

両親も姉も、説得を諦めたらしい。

…今日のところは。

仕事もしていないのになんだかえらく疲れた。

真っ直ぐ家に帰るのも憂鬱だ。

俺は車に乗り込むとある場所へと向かう。

◆◇◆

エレベーターに乗り、37階のボタンを押す。

フロアに到着すると目的の3715室へと向かった。

インターフォンを押し、暫くするとパタパタと足音が聞こえてくる。

ガチャっとドアが開くと小柄の女が姿を現した。

「肇さん、早かったですね」

俺がケーキの箱を差し出すとその大きな瞳が柔らかく綻ぶ。

「どうぞ」

くるりと踵を返すと仄かにローズの香りがした。

俺はそのちっこい背中に着いて行き、部屋へと上がる。

「こんばんは肇さん、今日はお鍋ですよ」

出迎えてくれた背の高い凛とした女性は、弟の婚約者である泉さんだ。
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