強引上司と過保護な社内恋愛!?
「金はあるのか？」

「あ、ありますよ」

そう言いながらも俺と絶対に目を合わせようとしない。

へえ、と言って部屋の片隅に置かれたブランドの紙袋に視線を向けた。

来月の暁と泉さんの挙式に向けて買い込んで来たに違いない。

「それに加奈ちゃんは婚活しているんだよねー」

「…は？」

俺は思わず聞き返した。

「婚活と引っ越しの間の関連性が俺には全く見出せない」

急に話が飛び過ぎだ。

女性にはこういうところがある。

「結婚したら住む家にも困らないじゃないですか。だから婚活してるんです」

俺は小さくため息を吐く。

「お前の思考は反吐が出るほど安直だな。家賃を払うのが嫌だから結婚するなんて、相手に失礼だと思わないのか？」

「思いませんね。全く」

加奈は毅然と言い返す。

「昔は生活のために、一度も会った事のない親が決めた人と結婚してたんですよ？結婚は生活力がない女性にとって生きる手立ての１つです。それが良いか悪いかなんて肇さんが批判する権利はありません」

鬼気迫る迫力に押されて、俺はくだらない、とだけしか言い返しせなかった。
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