強引上司と過保護な社内恋愛!?

「肇さん、ざいむしょーで誰か良い人いませんかねえ。紹介してくださいよ」

「…は？」

再び俺は聞き返す。

この俺に紹介を頼むとは本当に図々しい女だ。

其れとも女が好きな駆け引きってヤツなんだろうか。

「でも加奈ちゃん、異業種交流会で知り合った人と明日デートなんでしょう？」

異業種交流会…

そう言えば聞こえいいが、所謂合コンに違いない。

駆け引き、の線は完全に打ち消される。

この女は本気だ。

「よく知りもしない人と二人っきりで食事に行くってのも、何だか少し憂鬱で」

「でも不動産屋さんの跡取り息子なんでしょ？住むところに困らなそうじゃない？」

どうやらデートするお相手の話のようだ。

「まあ、そうなんですけどね。ギラッギラの下心剥き出しな感じがどうも苦手で」

加奈は小さくため息を吐く。

「食事の誘いに応じた時点でイケると思われただろうな」

「私は美味しい熟成肉とワインをご馳走してもらいたかっただけです！」

明け透けな男の本音を代弁すると加奈はキッと睨みつけてきた。

馬鹿だな。

食事に釣られて好きでもない男と出掛けるなんて。

まあ、俺には関係ないけどね。