強引上司と過保護な社内恋愛!?
そして迎えた10月1日

遂に古巣の資材管理部を去り、新天地の営業本部へお引越しだ。

「寂しくなります…」

私物が詰め込まれたダンボールを乗っけた台車を押しながら佐伯さんがボソリと呟く。

営業本部までのお見送りを彼女が申し出てくれたので、お言葉に甘える事にした。

「仕事の合間に泉さんとお喋りするのが唯一の息抜きだったんで」

「私もだよ」

建設資材や重機などの資産を管理統括する資材管理部では、数字ばかり取り扱う単調で退屈な仕事ばかりだった。

だけど佐伯さんと愚痴を言い合い、くだらない話しをしていたからこそ苦にならなかった。

同じ気持ちでいてくれた事が仄かに嬉しくなってしまう。

「でも、本社内にいる訳ですから、ランチ行ったり飲みにも行きましょう。寂しくなったら社内メールします」

いつもイキイキしている佐伯さんの目がほんのり赤い。

「うん…そうだね」

胸が詰まって、それしか言葉が出ない。

佐伯さんは其れを察してくれたようで、ニカっと笑い大きく頷いた。
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