強引上司と過保護な社内恋愛!?
『頼む…いずみん…今日出社すれば俺は家族から追放される』

「無理ですよ」

私は思いっきり眉根を寄せる。小日向さんには見えてないけど。

『資料の数字をチョチョっと読み上げて、後はわかりませぇん、確認しまぁす!でいいからさ!』

ええ、でも…、と私は口籠る。

人前で発表なんて殆どした事がないので、資料を読み上げる事ですら不安だ。

『うちの家族は高熱と嘔吐下痢、腹痛で苦しんでいるんだ!この状況を一家の主人として放っておけない!』

それは…確かに気の毒だ。

きっと奥様も娘さん達も苦しんでいるに違いない。

「…ほ、本当に資料を読み上げるだけで何とかなるんですか?」

逡巡した後に私は重い口を開く。

『いずみん!やってくれるのか?!』

だって…やるしかないじゃない。

その他に選択肢があるなら教えてほしい。

一先ず、営業会議用に小日向さんが作成しておいた資料の格納場所を聞いて、共有フォルダから探し当てる。
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