強引上司と過保護な社内恋愛!?
『各自の案件の進捗状況と着地見込みについて音読しとけばオッケーだからさ!』

「わ、解りました…」

小日向さんは私の気が変わらないうちにそそくさと電話を切った。

何だか堪らなく不安になって来た。

桧山さんに早めに出社出来ないか確認しようと携帯に何度も連絡してみるが繋がらない。

メールを打っても返信はなかった。

刻一刻と営業会議の時間が迫ってくる。

腕時計に目を落すと8:55を指しており、あと5分で会議は開催される。

「桧山さんから連絡ありました?」

出社してきた加奈ちゃんが心配そうに眉根を寄せる。

暫らく離席するかもしれないので、一切の事情は話してある。

私は無言のまま首を横に振った。

結局、桧山さんからは何の連絡もないまま。

「全く困った木彫りですね」

加奈ちゃんは苛立だしげに言う。

私が着任して以来、女子の中ではこの呼び名がスッカリ定着してしまった。

「一先ず、代理で出席するよ。桧山さんから連絡があったら伝えておいて」

「解りました」

加奈ちゃんは力強く頷いた。
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