強引上司と過保護な社内恋愛!?
営業本部の前に到着するとゴクリと生唾を飲み込む。

ここが新しい私の職場…

セキュリティカードをかざして、ドアを開けると大きく一歩を踏み出した。

「馬鹿野郎!」

突然の怒号に私はビクっと身体を硬直させる。

「おめーの顧客管理が甘いから、S建設に案件持ってかれてんじゃねえか!」

色黒のおっさんが、体躯のデカイ若者を立たせて怒鳴りつけている。

しかもめちゃくちゃ顔が怖いっていうね…。

「S区マンション建設のクレーム処理はどうなってんだよ!」

また違う方向から怒鳴り声が聞こえてくる。

そしてジャンジャカ鳴り止まぬ電話。

フロアには高校時代の部室の匂いが仄かに漂い、ノスタルジックな気分にさせた。

「何か…すごくないですか?」

佐伯さんも圧倒されている。

何に使うんだかわからない山積みにされたダンボール。

天井から吊るされたスローガンやら目標数値やらが書かれたパネル。

そして、見渡す限り、おっさん、おっさん、たまに若者…。

目に映る景色すら何だか喧しい。

と、とんでもないとこに来ちまった…。

私は呆然と立ち尽くす。
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