強引上司と過保護な社内恋愛!?
4. 捕食の危機
デスクで会議資料の作成していると、パソコン越しに前方からやたらと視線を感じる。

鬱陶しくて思わず顔をあげるとそこにいたのは、桧山さん。

外出中の伊藤さんに変わり、いつの間にか向かいの席に座っていた。

「何ですか?」

居心地の悪さに眉根を寄せて尋ねる。

「なんかさーラスカルって地味だよね」

ジロジロと眺めながらいきなり無礼をかましてきた。

いつのまにか「ラスカル」の呼称が定着していることも癪にさわる。

今日はグレーのニットにネイビーのフレアスカートという落ち着いた色合いの組み合わせのうえに、ストレートの髪も後ろで一本に括っている。

…確かに地味かも。

「ビジネスマナーに反しているとは思いませんが何か問題でも?」

私は冷ややかさ満載の態度で聞き返す。

「もっとニッシーみたいに可愛い格好すれば?」

ちらりと隣に座る加奈ちゃんに視線を向ける。

白いアンゴラニットのセットアップを着ており、ブラウンヘアも緩やかに巻かれている。

そしてメイクも抜かりない。

ファンデーションと血色を良く見せるたに施したチークにのみ、という手抜き…いやナチュラルメイクの私とは大違いだ。
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