強引上司と過保護な社内恋愛!?
「私は営業ではありません」

「綺麗に着飾ってニコニコ笑いながらお酌してればいいから」

最悪なほど女性軽視の発言だ。

「ホステスでもありません」

私は毅然と言い返す。

「知ってる。田母神じゃホステスは務まらない。愛想がないからな」

「解っているなら連れて行こうとしないでください」

私は鼻の頭に皺を寄せて睨みつけるが「その顔アライグマっぽいな!」と言って桧山さんは嬉しそうにケラケラ笑う。

本当に腹が立つ。

マジさいてー、と加奈ちゃんも横からヤジって加勢してくた。

「今回接待するのはオランダ大使だ。田母神英語話せんだろ?」

「す、少しは…」

どうして桧山さんが知っているのだろう。

大学は英文学科で、短期留学の経験ならある。

入社当初は国際的な仕事がしたい!なんつって意気込んでいたもののまさか接待で必要とされるとは。

桧山さんはデスクの上に身を乗り出して手招きする。

「これはオフレコの話なんだがな…」と言ってコソリと耳元で囁く。
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