Combative instinct
Episode.0
その日はいつもと変わらない日常の一つだった。俺達の目の前に急に現れた非日常。
その中で壊れていく全ては――……

――――
私立青木学園-弓道場―

春虎「みんな、お疲れ様」
拓海「お?今日は早いんだな、ハル」
春虎「まあね。拓海はまだやるの?」
拓海「お前の事だし、どうせ彼女絡みで帰るんだろ?」
春虎「あのねぇ、何度言えばわかるのかな。彼女はいないって。」
拓海「綺麗な顔してんのにできないってどういう事だよ…」
春虎「はいはい。褒めても何も出てこないよ。」
拓海「世辞で言ったんじゃねぇけど…」
蓮「おい、ハル。弓片付いてないんやけど」
春虎「あれ?おかしいな。さっき片付けたはずだけど…」
蓮「そんなら誰が26キロ引くんや?」
春虎「あー…はい。」
女子「春虎さん、少しだけ指導お願いしてもいいですか?…お時間があればですけど…」
春虎「いいよ。で?どこがわからないの?」
女子「引き分けのとこがうまくいかなくて」
春虎「じゃあ 、巻藁でやってみようか。」

――――
春虎「ちょっと触ってもいいかな?」
女子「大丈夫ですよ。」
春虎「弓は手首じゃなくて肩甲骨を使って引いて。すると少しは課題が改善すると思う」
女子「なるほど、わかりました。ありがとうございます!」
春虎「なんかあったらいつでも聞いて。」
女子「はい!」
迅「おいハル~」
春虎「何?」
女子「春虎さんお疲れ様でした」
春虎「うん。お疲れ様」
迅「あの子、絶対お前に惚れてるって!」
春虎「まさか。そんな訳ないよ」
迅「親友の俺があの子の事好きだって知ってるだろ?」
春虎「自分から親友って言わないでよ…」
やっぱり、幼馴染みの迅とは気楽でいい。
迅「まぁまぁ、いいじゃん。俺とハルの仲だぜ?」
春虎「まあいいけどさ。」
こんななんでもない日こそが幸せだと感じる。
――――
帰路
春虎「―!?」
―ドスッ
春虎「―ッ…!」
背後にいたやつは…
―ドサッ…
薄れる意識の中、見知らぬ男の声、そして冷たいコンクリートに倒れる感覚だけ感じた…。
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